2021年末頃に、活況な仮想通貨市場に牽引されるように注目を浴びるようになった用語「Web3」。
だがここ最近は、メディアで取り上げられる機会も減り、その勢いに陰りがあるように感じられる。
そこで今回は、Web3の現状やメリット・デメリットを整理し、今後本当に普及し得るのかを考察していく。
この記事からわかること
- そもそもWeb3とは何か?
- Web3の現状、普及状況
- Web3のメリット・デメリット
- Web3の将来性
Web3のプロダクトやサービスは基本的にブロックチェーンを基盤としており、利用する際には現状、さまざまな仮想通貨が必要になる。
また仮想通貨の価格は日々変動しており、将来Web3が普及すると、今と比べて価格が大きく値上がりするかもしれない。
そのためWeb3の将来性に期待する方は、今の内にCoincheckなどの仮想通貨取引所をとおして、仮想通貨への長期投資にトライしてみてはいかがだろうか。
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目次
そもそもWeb3とは?
さてまずは、そもそもWeb3が何なのかを整理しておこう。
「Web3(Web3.0と表記されることも)」とは、2014年にイーサリアムチェーンの開発者の一人であるギャビン・ウッド氏が、従来のインターネットと区別し、「ブロックチェーンに基づく分散型(非中央集権型)のインターネット」を指して創った用語だ。
概念的な言葉なので、具体化したときの捉え方は専門家の中でもずれがあるようだが、「分散型(非中央集権型)」であるという根底の部分は基本的に共通している。
そのため、
- 分散型のネットワークであるブロックチェーン
- ブロックチェーンを基盤に発行された仮想通貨(暗号資産)
- NFT
- DApps(分散型アプリ)
などはいずれも、Web3の概念に基づいたプロダクトだと言えるだろう。
Web3の現状
続いて、Web3の現状について整理しておこう。
Web3の現状
- 日本政府が国家戦略の1つとしてWeb3を推進している
- 大手企業によるWeb3プロダクトが登場してきている
- 依然として中央集権的なサービスが強い
日本政府が国家戦略の1つとしてWeb3を推進
まずは、日本におけるWeb3の扱いを簡潔におさらいしていこう。
2022年6月に日本政府(岸田政権)は、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」へWeb3のことを明記し、その推進に本格的に取り組むことを公けに示した。
同年10月にはデジタル庁内にWeb3研究会を設置し、政策実施に向けた議論をスタート。
その後のWeb3関連の具体的な施策としては、2023年6月の資金決済法改正で、国産ステーブルコインの発行ができるようになった。
また、Web3企業の足かせとなり得る税制面の法改正も進められている。
日本政府でのWeb3関連の主な事柄
- 「骨太方針2022」で、Web3の環境整備を進めることを明記【2022年6月】
- デジタル庁にWeb3研究会を設置【2022年10月】
- 資金決済法改正で国産ステーブルコインが発行可能に【2023年6月】
- 23年度税制改正、法人の自社発行の仮想通貨が期末評価課税の対象外に【2022年12月】
- 24年度税制改正大綱が閣議決定、法人保有の仮想通貨の税負担が軽減へ【2023年12月】
大手企業によるWeb3プロダクトが登場してきている
過去のWeb3業界は、多くのスタートアップ企業に支えられていた。
しかし近年は、国内外で、大手企業も相次いでWeb3業界に参入してきている。
数え切れないほどの事例があるが、ここではその中からいくつかをピックアップして提示しておく。
大手企業のWeb3参入の事例
【国内の事例】
- スクエアエニックス:コレクタブルNFTやNFTゲームをリリース
- GMOグループ:Web3ベンチャーを支援するベンチャーキャピタルを運営
- FC琉球(Jリーグ):ファントークンのFCRコインを発行
【海外の事例】
- NIKE:メタバースプラットフォームやコレクタブルNFTを展開
- スターバックス:Web3体験プログラムやコレクタブルNFTを展開
- ジャックドーシー氏らが分散型SNS「BlueSky」をリリース
依然として中央集権的なサービスが強い
前述のとおり昨今は、大手企業の中にもWeb3業界参入の動きが見られるようになっている。
だが、そうした動きによってWeb3のプロダクトが世間一般に浸透してきたかというと、今のところはそんなことはない。
一概にWeb3といっても、そのサービスやプロダクトは様々なものがあるが、例えばゲームの市場状況をWeb3のものと従来型のもので見比べてみよう。
少し古いデータになるが、アメリカのマーケット調査企業「MarketsandMarkets」のレポートによると、世界のNFTゲームの市場規模は2022年に約46億ドルだったと推定されている。
一方でゲーム全体の市場規模は、同年に約,1844億ドル*だったとされている。*角川アスキー総合研究所、グローバルゲームマーケットレポート2022
NFTゲームの市場規模とゲーム全体の市場規模を調べた会社がそれぞれ異なるため、やや正確性に欠ける部分はあるが、少なくとも現状NFTゲームがそれほど普及していないことは確かだ。
また実際のところはわざわざ数値を追わずとも、自身の周囲を見渡してみただけで、ゲームに限らずWeb3のサービスやプロダクトがまだ大して普及していないことは、だれの目にも明らかだろう。
Web3のメリット
今後Web3が普及するかどうかを占うには、Web3のメリット・デメリットも知っておきたいところだ。
まず、現時点でのWeb3の主なメリットは、以下のようなものがある。
Web3の主なメリット
- システム中枢でのデータの改ざんが難しい
- トラストレスでサービスを利用できる
- サーバーダウンの心配がない
- 個人のマネタイズ手段が増える
システム中枢でのデータの改ざんが難しい
Web3のプロダクトは、基本的に「ブロックチェーン」を基盤としたものだと考えてもらって、差支えないだろう。
ブロックチェーンは分散型(非中央集権型)のデータベースであり、不特定多数のネットワーク参加者同士で同じデータを共有する。
そうした仕組みから、ハッキングしてデータを改ざんするにはその不特定多数のデータ保管場所を攻撃する必要があり、ブロックチェーンは事実上データの改ざんが不可能だとされている。
トラストレスでサービスを利用できる
中央集権型のサービスは、利用前にそのサービス提供者に対して個人情報を提示し、信用面で問題がないことを示さなければならないケースが多々ある。
また個人情報提示の際、年齢や所得などの制限があれば、それをクリアしていないとサービスを使えない。
一方で、中央集権的な管理者が存在しないWeb3のサービスは、ユーザーの信用面を問わないものが多い。
いちいち個人情報をさらす必要がない上に、年齢や国籍などに関係なくだれでもサービスを使えるのだ。
サーバーダウンの心配がない
中央集権型のサービスは単一のサーバーをベースにしたものが多く、そのサーバーでトラブルが発生すると、一斉に世界中でサービスが停止してしまうリスクを抱えている。
一方でブロックチェーンは、複数のノード(ネットワーク参加者のこと)によって構成されているため、もしも一部のノードでトラブルが起きても全体の稼働には問題が生じない。
個人のマネタイズ手段が増える
中央集権的な管理者がいないブロックチェーンは、その多くが参加者同士でネットワークの保全を図っていく仕様になっている。
またネットワーク保全のための作業はボランティアではなく、その作業をおこなった者にはインセンティブが発生する。
Web3のプロダクトやサービスは、関わり方次第で、個人の新たな収入源にもなり得るのだ。
Web3のデメリット・疑念
一方でWeb3には現状、次のようなデメリットや疑念がある。
Web3のデメリット・疑念
- 各プロダクトでは不正行為が起きうる
- 権力者が挿げ替えられるだけでは…
- 手数料を取られる場面が多い
- 利用するための敷居が高い
- インターフェースが優れているとは限らない
- 法律の整備が追い付いていない
各プロダクトでは不正行為が起きうる
前述のとおりWeb3のプロダクトの基盤となるブロックチェーンは、改ざんが事実上不可能な仕様になっている。
一方で、ブロックチェーン上に構築される各プロダクトやサービスについてはまた別の話であり、そこではプログラムの脆弱性を突いた改ざんや不正行為が起こり得る。
特にこれまでのところは、Web3に参入してくるのは技術的に稚拙なスタートアップ企業が多く、そうしたスタートアップ企業が手がけるプロダクトを中心にたびたび不正流出などのトラブルが起きている。
セキュリティアプリDe.Fiのレポートによると、2023年にスキャムやハッキングなどのトラブルで失われた仮想通貨は、世界で20億ドル(約2,800億円)に上るという。
ブロックチェーンの安全性が高いため「Web3サービスは中央集権的なサービスよりも安全」という表現をされることがあるが、実際のところは必ずしも安全だと言えない状態にある。
権力者が挿げ替えられるだけでは…
Web3の世界は、中央集権的な管理者を必要としない、真に民主的な世界だとされている。
ただ一方で、それは聞こえの良いまやかしなのではと訝しむ声も上がっている。
そうした懸念を抱く人々は、仮にWeb3によって現在のサービスを支える大手IT企業が排されたとしても、支配力を持つ者が多数のスタートアップ企業などに挿げ替わるだけなのではないか(≒個人同士による真の民主主義にはならない)と考えているようだ。
手数料を取られる場面が多い
今の中央集権的なサービスは、手数料や利用料を払わずに使えるものも多い。
サービスを提供する大手企業が、裁量的判断で無料と有料のものに分けてサービスを提供しているからだ。
一方でWeb3のサービスは、基盤となっているブロックチェーンの仕様により、一般的にはあらゆるサービスで、区別なく手数料の支払い(ネットワーク手数料/ガス代の支払い)が必要になる。
こうしたブロックチェーンの仕様に起因する避けられないコストの発生が、Web3の普及を妨げる一因になっている。
ちなみに、数あるブロックチェーンの中には、
- ごくわずかなコストでサービスを利用できるブロックチェーン
- 開発者側から手数料を徴収し、エンドユーザーからは手数料を取らないブロックチェーン
というものもある。
ただそれらは、今のところメインストリームになりきれていない。
利用するための敷居が高い
現状のWeb3のサービスは、大半がブロックチェーンと仮想通貨が絡んでくる。
サービスを利用する際に、法定通貨(日本円やドル)を使って支払いをすることができず、いちいち仮想通貨を用意しなければならないのだ。
そもそも仮想通貨が一般的な決済通貨として普及していないので、Web3サービスはかなり敷居の高い存在となっている。
インターフェースが優れているとは限らない
先ほども述べたように、これまでのWeb3の世界は、技術的に拙い部分が多いスタートアップ企業がけん引してきた。
そのためWeb3のサービスのユーザーインターフェース(UI)は、大手IT企業がつくった従来型のサービスよりも不便なものが多い。
両者を比べて使い勝手が悪ければ、言わずもがなWeb3のサービスには、なかなか新規ユーザーが流入してこないことになる。
法律の整備が追い付いていない
Web3は歴史の浅い分野であり、法整備が追い付いていないのが現状だ。
個人の視点から見ると、Web3がらみの税制面の法整備、特に仮想通貨関連の税制度の整備が不十分だと感じるケースが多いはずだ。
今Web3のサービスを利用すると何かと仮想通貨に触れることになるが、仮想通貨に対する税制度は実状に見合った状態になく、またかなり複雑だ。
所得の計算や申告をする際に非常に手間がかかることから、Webサービスの利用を忌避する人も一定数いることだろう。
このようにWeb3のプロダクトやサービスは、メリットがある一方で、そのメリット以上の多くのデメリットや懸念がある。
それらが1つ1つ解消されていかなければ、なかなか世間一般には受け入れられないだろう。
Web3の今後に関わる重要ポイント
繰り返しになるが、現行のWeb3のプロダクトやサービスは、まだまだ多くのデメリットや問題を抱えている。
またそうしたデメリットや問題によって、ごく単純に現行の中央集権的なサービスの方がまだまだ便利なので、普及が進まない状態にある。
だが逆に考えると、問題が1つずつ解消されて便利になりさえすれば、自ずとその需要は増していくだろう。
普及に関わる重要要素
- ユーザビリティを向上させられるか
- ユーザー視点で、法的なわずらわしさ(特に税制面)を払拭できるか
- プロダクトごとにセキュリティ上の課題を克服できるか
- 無料で使えるサービスを増やせるか
まとめ:今は解消すべき問題が山積みの状態
今回はWeb3について、現状や今後の見通しなどを解説した。
この記事のまとめ
- Web3は、分散型(非中央集権型)のインターネットを指す概念的な用語
- 2021年後半に話題を集めるが、その後それほど普及していない
- 将来性はあるが、同時にまだ多くのデメリットや問題を抱えている
- 現行の中央集権的なサービスよりも便利になれば、自ずと普及していくはず
2021年後半にWeb3は、経済系のメディアで取り上げられるほど注目されたものの、その後はなかなか普及が進んでいないのが現状だ。
普及しないのは結局のところ、現行の中央集権的なサービスよりもまだまだ不便だからだろう。
だが今後、さまざまなソリューションによって問題を1つずつ解消していけば、Web3のサービスの利便性が中央集権的なサービスに並ぶ、もしくは上回る日が来るかもしれない。
またそうなれば、Web3の普及は世界中で急速に進むはずだ。
余談になるが、Web3のサービスはブロックチェーンを基盤としており、一般的に利用の際には仮想通貨が必要になる。
また仮想通貨の価格は日々変動しており、将来Web3が普及すると、今と比べて価格が大きく値上がりするかもしれない。
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