今回取り上げる「Balancer(バランサー)」は、イーサリアムチェーンなど複数のブロックチェーン上で稼働しているDEX(分散型取引所)だ。
流動性プールにおいてユニークな設計がなされており、イーサリアムチェーン上では五指に入る取引高*を誇る。*2024年4月9日時点、CoinMarketCap調べ
本記事ではそんな人気のDEXであるBalancerについて、主な特徴や他のDEXとの相違点、将来性などを解説していく。
この記事からわかること
- Balancerの基本情報、特徴
- Balancerでのマネタイズの方法
- ネイティブトークン「BAL」の過去の値動き
- Balancerの将来性
- Balancerの使い方
Balancer(イーサリアムチェーン上のBalancer)を使う際には、ネットワーク手数料の支払い手段やスワップの元手として、イーサリアムが必要だ。
イーサリアムは大抵の国内取引所で買えるが、その中でも「GMOコイン」を使ってイーサリアムを用意すれば、ウォレットへの送金時に手数料がかからない。
Balancerに興味がある方は、BalancerなどのDEXと相性が良いGMOコインのことも、ぜひチェックしてみてほしい。
GMOコインの特長
- オリコンの調査で満足度日本一*1
- 50万人以上の投資家に選ばれている
- 格安な手数料で取引可能*2
- 仮想通貨の出金手数料が無料
- ステーキングやレンディングで投資技術がなくても稼げる
*1:2023年 オリコン顧客満足度®調査 現物取引部門・証拠金取引部門
*2:取引形式で「取引所」を選択した場合
目次
Balancer(バランサー)とは?
名称 | Balancer(バランサー) |
サービス内容 | スワップ |
基盤のブロックチェーン | イーサリアムチェーン グノーシスチェーン Polygonチェーン Arbitrumチェーン 他 |
対応ウォレット | MetaMask WalletConnect Coinbase Wallet 他 |
サイトURL | https://app.balancer.fi |
Balancer(バランサー)は、AMMプロトコルを用いたDEX(分散型取引所)の1つだ。
AMM(Automated Market Maker、自動マーケットメイカー)とは、あらかじめ設定されたルールに従い、自動でのマーケットメイクを可能にするシステムのことだ。
AMM型のDEXでは、預け入れた資産でつくられた流動性プールを元に、取引価格が自動的に算出され、ユーザーは流動性プールを相手に取引をおこなう。
Balancerでは、DEXの代表格であるUniswapなどよりも、自由度の高い流動性プールをつくることができる。
また、インパーマネントロスを抑えられる仕組みになっていることから、多くの投資家からの支持を集めており、イーサリアムチェーン上のDEX同士で日々の取引高を比べてみると、Balancerはトップ5に入る取引高*を誇っている。*2024年4月9日時点、CoinMarketCap調べ
Balancer(バランサー)の特徴
さてBalancerは、主に次のような特徴を有している。
主な特徴
- 7種類のブロックチェーン上で稼働
- 流動性プールの構成の自由度が高い
- インパーマネントロスを抑えられる
- より利益効率が高い「ブーストプール」もある
- ネイティブトークンは「BAL」
- ガバナンスに投票エスクローモデルを採用している
7種類のブロックチェーンで稼働
2024年4月時点ではBalancerは、以下の7種類のブロックチェーンを基盤として稼働している。
イーサリアムチェーンとAvalancheチェーン以外のブロックチェーンは、いずれもイーサリアムチェーンのレイヤー2ブロックチェーンである。
流動性プールの構成の自由度が高い
例えばUniswapの流動性プールでは、預け入れる際に、2種類の銘柄を等価値になるようにしなければならない。
一方でBalancerの流動性プールは、1種類から最大8種類の銘柄で構成されている。
また、預け入れる銘柄の比率は、必ずしも等価値である必要がない。
例えば、「イーサリアム20%、DAI20%、USDT60%」といったように、自由な比率の流動性プールをつくることも可能だ。
インパーマネントロスを抑えられる
インパーマネントロスとは、流動性プールに預け入れた仮想通貨の価格が変動し、バランスが崩れることによって生じる損失のことだ。
従来のDEXでは、せっかく流動性提供をとおしてインセンティブを得ようとしても、大きなインパーマネントロスのせいでトータルでみると大して儲からなかったり、場合によっては損失が出てしまうケースも見られた。
一方でBalancerでは、スマートコントラクトが流動性プール内の各銘柄の比率を自動的に調整・維持してくれる。
そうしたリバランス機能があることによって、Balancerではインパーマネントロスを小さく抑えられるようになっている。
より利益効率が高い「ブーストプール」もある
ブーストプールでは、流動性の大部分を外部プロトコルに保存することで、より高い利益効率が実現される。
例えばブーストプール【Aave】では、預け入れられた資産の大部分がレンディングプロトコルの「Aave」で保存されることにより、利回りが向上している。
ネイティブトークンはBAL
Balancerのネイティブトークンは「BAL」だ。
BALは、Balancerでの流動性提供の対価となっている他、ガバナンスにも用いられている。
ちなみに、本記事執筆時点でのBALの時価総額ランキングは122位*であり、その順位からもBalancerの需要の高さがうかがえる。*2023年7月20日時点、CoinMarketCap調べ
ガバナンスに投票エスクローモデルを採用している
Balancerのガバナンスでは、「投票エスクローモデル」が採用されている。
「投票エスクローモデル」とは、指定のトークンを預け入れ、投票権付のトークンを別途取得することにより、運営の意思決定に関わる投票に参加できる仕組みのことだ。
Balancerの場合は、BALを預け入れる(ステーキングする)と、「veBAL」(投票権付のBAL)を得られる。
得られるveBALの数量は、預け入れるBALの数量と、預け入れる期間に応じて変化する。
つまり、Balancerにより積極的に貢献している者に対して、より多くの投票権が与えられるということだ。
またveBALの保有者には、投票への参加権だけでなく、以下の特典・権利も付与される。
veBAL保有で得られる権利・特典
- ガバナンスにおける投票の参加権を得られる
- プロトコル収益の分配を受けられる
- 流動性マイニングの収益効率が最大2.5倍になる
Balancer(バランサー)での稼ぎ方
ここで、Balancerでのマネタイズの方法を確認しておこう。
マネタイズの方法
- 流動性を提供する
- LPトークンをステーキングする(流動性マイニング)
- veBALを入手して収益効率を上げる
Balancerでは他のDEXと同じく、流動性プールに保有資産を預け入れる(流動性を提供する)と、スワップ手数料から分配を受けることができる。
また流動性を提供すれば、LPトークンも手に入る。
そのLPトークンをステーキングすると、スワップ手数料の分配に加えて、流動性マイニングのインセンティブを得られる。
さらに、前述のとおりveBALを保有していれば、流動性マイニングの利回りを引き上げることも可能だ。
BALの値動き
続いて、参考までにBALの値動きを確認しておこう。
リアルタイムの値動き
まず、リアルタイムの値動きは以下のチャートのとおりだ。
2023年末までの値動き
次にBAL/USDチャートで、BALが市場で取り扱われるようになった2020年6月末から、2023年末までの値動きをおさらいしていこう。
BALは2020年末から2021年5月上旬にかけて、いわゆる「コロナバブル」の影響で大きく高騰している。
ところが、バブルが崩壊すると瞬く間に資金が流出してしまい、2022年中頃を過ぎると、高騰が起きる前の価格水準すら下回ってしまった。
その後はチャートを見てわかるとおり、目ぼしい値動き自体がない状態に陥っている。
Balancerの将来性に関わるポイント
数あるDEXの中で、現時点では上位の取引高を誇るBalancerだが、将来性の面はどうなのだろうか。
ここでは次の3つの要素から、Balancerの将来性を考察していく。
将来性に関わる注目要素
- 対応チェーンが増える見込み
- 独自性と先行者利益がある
- DeFi市場全体の動向にも注目
対応チェーンが増える見込み
前述のとおりBalancerは、2024年4月時点でイーサリアムチェーンとそのレイヤー2ブロックチェーンを中心に、7種類のブロックチェーン上で稼働している。
また開発元の情報(Mediumでの情報)によると、Balancerのマルチチェーン展開はまだ途上とのことで、これから他のレイヤー2ブロックチェーンにも拡張されていくものと見られている。
マルチチェーン展開によって利便性が向上していけば、自ずと新規ユーザーの獲得にもつながっていくはずだ。
独自性と先行者利益がある
DEXは数多くの種類があるが、Balancerのように流動性プールに高い自由度があるものはまだまだ少ない。
なお、Balancerはオープンソースのプロトコルであるため、UniswapをベースにSushiSwapやPancakeSwapが生まれたように、BalancerをベースとしたDEXが登場するかもしれない。
しかし、真似して後からつくられるDEXと比べると、Balancerは先行者利益を獲得した状態にあり、そう簡単に市場シェアを奪われることはないだろう。
DeFi市場全体の動向にも注目
先ほどBALの値動きの解説の中で述べたように、仮想通貨市場およびDeFi市場は、2021年から低迷が続いている。
次のチャートは、DeFi市場全体のTVL(預かり資産)の推移を示したものだが、これを見ると2021年末頃から大きく減少していることがわかる。
Balancerを利用するなら、このように低迷が続くDeFi市場が活気を取り戻せるかどうかも、注視しておきたいところだ。
Balancer(バランサー)の始め方・使い方
続いてはBalancerを利用するための下準備と、基本の使い方(スワップの使い方)を紹介していく。
なお、今回は「イーサリアムチェーン上のBalancerを使う」という前提で解説していく。
Balancerの使用方法
- 国内取引所でイーサリアムを用意
- ウォレットを用意
- Balancerにウォレットを接続
- イーサリアムを元手にスワップ
国内取引所でイーサリアムを用意
イーサリアムチェーン上のBalancerは、スワップなどをおこなう際、イーサリアム(ETH)でネットワーク手数料(ガス代)を支払うことになる。
またイーサリアムは、スワップの元手としても使える。
そこでまずは、いずれかの国内取引所でイーサリアムを調達しよう。
メジャー通貨であるイーサリアムは大抵の国内取引所で調達が可能だが、その中でもDEXと併用する場合には「GMOコイン」がうってつけだ。
取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) レバレッジ取引(販売所・取引所) |
取扱銘柄数* | 27種類 |
取引コスト (BTC/JPYの場合) | 現物取引(販売所) ⇒ 無料、スプレッドあり 現物取引(取引所) ⇒ Maker-0.01%、Taker0.05% レバレッジ取引(販売所) ⇒ 無料、スプレッドあり レバレッジ取引(取引所) ⇒ 無料 |
仮想通貨の入出金手数料 | 入金:無料、ガス代は自己負担 出金:無料 |
その他のサービス | 貸暗号資産ベーシック 貸暗号資産プレミアム つみたて暗号資産(自動積立) ステーキング IEO 外国為替FX |
GMOコインの特長
- オリコン顧客満足度調査で満足度日本一*1
- 取扱銘柄数が国内最多クラス
- 低コストで仮想通貨を取引できる*2
- 仮想通貨の出金手数料が無料
- ステーキングやレンディングで投資技術がなくても稼げる
*1:2023年 オリコン顧客満足度®調査 現物取引部門・証拠金取引部門
*2:取引形式で「取引所」を選択した場合
GMOコインなら、取引所形式での取引によって、リーズナブルな手数料でイーサリアムを買える。
また他の多くの国内取引所と違い、購入したイーサリアムをウォレットへ送る際に、送金手数料が発生しない。
まだ口座をお持ちでない方は、ぜひこの機会にGMOコインの利用を検討してみてほしい。
ウォレットを用意
Balancerを使うには、ウェブウォレットが必須だ。
対応ウォレットは豊富にあり、どのウォレットを用意すべきか迷った場合には、汎用性があって無料で使えるウォレット「MetaMask」を用意するとよいだろう。
MetaMask - Blockchain Wallet
MetaMask無料posted withアプリーチ
なお、MetaMaskの特徴や入手方法については、以下の記事で詳しく解説している。
まだお持ちでない方は、ぜひ参考にしてもらいたい。
また、ウォレットを用意できたら、国内取引所からそのウォレットのアドレス宛にイーサリアムを送金しておこう。
Balancerにウォレットを接続
イーサリアムとウォレットが揃ったら、次は用意したウォレットをBalancerに接続しよう。
Balancerのサイトにアクセスし、サイト上部にあるネットワークの選択タブを開いて、「イーサリアム」を選ぶ。
続いて、ネットワーク選択タブのとなりにある「Connect Wallet」をクリックする。
すると、次のようにウォレットを選択する画面が表れるので、それらの中から自身が使用しているものを選択しよう。
ウォレットを選ぶと、自動的に自身のウォレットが起動し、Balancerとの接続の承認を求められる。
その要求に応じれば、接続の手続きは完了だ。
イーサリアムを元手にスワップする
下準備は以上で、まずは用意したイーサリアムを使い、スワップ(交換)をやってみよう。
上部メニューから「Swap」を選択し、表示された画面の中でスワップする銘柄と数量を指定すれば、手軽にスワップをおこなうことができる。
また、スワップによって複数の銘柄が揃ったら、流動性の提供などにもチャレンジすることができる。
以上、Balancerの使い方について、基礎的な部分を紹介した。
興味がある方は、まずGMOコインなどでイーサリアムを用意するところからトライしてみてほしい。
Balancerに関するQ&A
それでは最後に、Balancerに関してよくある質問を3つ紹介しておく。
よくある質問
- Balancerは、日本語に対応していますか?
- Balancerに年齢などによる利用制限はありますか?
- Balancerは安全ですか?
Balancerは、日本語に対応していますか?
現状のBalancerは残念ながら英語表記のみであり、日本語などの他の言語に切り替える機能はない。
Google Chromeなどのブラウザの翻訳機能を使い、日本語に翻訳することは可能だが、その場合は適切な和訳にならない部分も出てくるので注意が必要だ。
Balancerに年齢などによる利用制限はありますか?
Balancerは、MetaMaskなどのウォレットを接続するだけで、年齢や国籍などに関係なく誰でも使用することができる。
Balancerは安全ですか?
オンライン上で資産の管理や取引をおこなうDeFiプロトコルでは、ハッキングなどによる不正流出が後を絶たない。
ブロックチェーンセキュリティ企業 LianAn Technologyのレポートによると、2022年の1年間におけるDeFiプロトコル全体の不正流出総額は、36億4,000万ドル(約4,700億円)に上るとされている。
そうした現状があることからBalancerも、必ずしも安全だとは言い切れない。
Balancerを利用する際には、そのセキュリティを過度に信用することなく、自身の資産を守るための対策を十分におこなう必要があるだろう。
Balancer(バランサー)とは?まとめ
今回は、DEXの1つ「Balancer(バランサー)」について、特徴や他のDEXとの相違点、使い方の基礎などを紹介した。
この記事のまとめ
- Balancerは、イーサリアムなどを基盤とするDEX
- 流動性プールに預け入れる通貨の数や比率の調整が可能
- ガバナンスには投票エスクローモデルを採用している
- veBALを保有すると、流動性マイニングの利回りが上がる
Balancerは、流動性プールの細かな設定ができるユニークなDEXだ。
自由度が高く、資金効率も優れていることから、Balancerは多くの投資家から支持を集めている。
本記事をとおして興味を持った方は、GMOコインなどでイーサリアムを用意したのち、実際にBalancerに触れてみてはいかがだろうか。