ユーザー同士でデータを管理するブロックチェーンは昨今、クラウドストレージサービスにも活躍の場を広げてきている。
今回取り上げる「ファイルコイン」もブロックチェーンの技術を用いた分散型(非中央集権型)のストレージサービスの1つで、第三者の仲介を必要とせずに、ユーザー同士でストレージの貸し借りができるようになっている。
本記事ではそんなファイルコインと、そのユーティリティトークンである「FILトークン」について、主な特徴や将来性、FILトークンの価格予想などを紹介していく。
この記事からわかること
- ファイルコイン/FILトークンの基本情報
- ファイルコイン/FILトークンの5つの特徴
- FILトークンのこれまでの値動き
- ファイルコイン/FILトークンの将来性
- FILトークンの価格予想
- FILトークンを買える仮想通貨取引所
本記事執筆時点(2024年3月)でFILトークンを取り扱っている国内の仮想通貨取引所は、GMOコインとOKJの2社のみだ。
特にGMOコインは、充実したサービス内容が評価され、多くの投資家に選ばれている。
FILトークンへの投資に興味がある方は、ぜひこの機会にGMOコインのこともチェックしてみてほしい。
GMOコインの特長
- オリコンの調査で満足度日本一*1
- 50万人以上の投資家に選ばれている
- 格安な手数料で取引可能*2
- 仮想通貨の出金手数料が無料
- ステーキングやレンディングで投資技術がなくても稼げる
*1:2023年 オリコン顧客満足度®調査 現物取引部門・証拠金取引部門
*2:取引形式で「取引所」を選択した場合
目次
FILトークン/ファイルコインとは?
名称 | FIL、FILトークン |
シンボル・通貨単位 | FIL |
ローンチ時期 | 2017年 |
サイトURL | https://filecoin.io |
上場先 | GMOコイン OKJ |
ファイルコイン(Filecoin)は、ユーザー同士でストレージの貸し借りができる、分散型(非中央集権型)のストレージネットワークだ。
ユーティリティトークンとして仮想通貨「FILトークン」が用意されており、利用料の支払い手段やインセンティブなどに用いられている。
なお、仮想通貨取引所においてFILトークンは、ブロックチェーンと同じくファイルコインと表記されることが多い。
しかし本記事では、情報の混同を避けるため、ブロックチェーンのことを「ファイルコイン」、ユーティリティトークンのことを「FILトークン」とそれぞれ正規の名称で表記することとする。
FILトークンは、2023年7月8日にGMOコインから、国内市場への初上場を果たした。
また2024年3月時点では、GMOコインとOKJの国内2社で取り扱われている。
FILトークン/ファイルコインの特徴
さて、ファイルコインおよびFILトークンは、次のような特徴を有している。
主な特徴
- ユーザー同士で貸し借りができる分散型ストレージ
- 独自のアルゴリズムがデータ保存の安全性を担保
- ファイルコインを基盤としたDAppsの開発が可能
- ICOで歴代2位の資金調達額を達成
- 2020年にメインネットが稼働開始した
ユーザー同士で貸し借りができる分散型ストレージ
ファイルコインは、分散型(非中央集権型)のストレージネットワークだ。
従来のクラウドストレージサービスだと、ユーザーはサービスを手がける企業からストレージを借りられる一方で、貸し手となることはできなかった。
しかしファイルコインの場合は、ユーザーが借り手と貸し手のどちらにもなることができる。
借り手(クライアント)側は、FILトークンを利用料として支払うことで、他のユーザーからストレージを借りられる。
それに対して貸し手(ストレージプロバイダー)側は、自身の持つストレージの空き容量を提供し、報酬としてFILトークンを受け取ることができる。
独自のアルゴリズムがデータ保存の安全性を担保
第三者が取引の仲介をしないファイルコインでは、ストレージプロバイダー(貸し手側)がデータを正しく保存しているかどうかを検証する仕組みが設けられている。
その仕組みは、「プルーフ・オブ・レプリケーション(Proof of Replication)」と「プルーフ・オブ・スペースタイム(Proof of Spacetime)」の2種類がある。
まずプルーフ・オブ・レプリケーションは、データが適切に保存されたかを検証するためにある。
またプルーフ・オブ・スペースタイムで、データが適切に保存され続けているかを定期的に検証している。
これらのアルゴリズムによって、ストレージプロバイダーは自身が契約した条件を守っていることを証明しなければならず、もしも証明できなければペナルティを受けることになる。
ICOで歴代2位の資金調達額を達成
ファイルコインは2014年にプロジェクトが開始され、2017年8月にFILトークンのICO(資金調達のためのプレセール)が実施された。
このICOはシビアな条件のもと、限られた投資家を対象としていた。
にもかかわらずファイルコインは大きな注目を集め、歴代で資金調達額2位となる約282億円もの資金調達に成功している。
2020年にメインネットが稼働開始した
前述のとおりファイルコインは、2014年にプロジェクトが始まり、FILトークンは2017年から市場へ流通していた。
そして2020年10月にようやく、メインネットのローンチにこぎ着けている。
後ほど詳しく紹介するが、メインネットローンチ直後にFILトークンは急騰し、市場の地合いが良かったこともあって、その後2021年前半に大きく値上がりした。
ファイルコインを基盤としたDAppsの開発が可能
ファイルコインには、スマートコントラクトを稼働させるための仮想マシン(ファイルコイン仮想マシン、FVM)が実装されている。
FVMがあることによってエンジニアは、ファイルコインのネットワークを基盤としたDApps(分散型アプリ)を開発することができる。
また、FVMにはイーサリアムチェーンの仮想マシン(EVM)との互換性がある。
そのため、イーサリアムチェーンのユーザーがファイルコインのDAppsにアクセスしたり、イーサリアムチェーン上のDAppsをファイルコインへと簡単に移植コピーしたりできるようになっている。
FILトークンの値動き
ここで、FILトークンの値動きを紹介しておこう。
リアルタイムの値動き
まず、リアルタイムの値動きは以下のチャートのとおりだ。
2022年末までの値動き
次にFIL/USDチャートで、海外市場に上場した2017年12月から、2023年末までの値動きをおさらいしていこう。
先ほど述べたようにFILトークンは、ファイルコインのメインネットがローンチされた2020年10月に大きく高騰している。
さらに当時は、コロナ禍で世界各国が大規模な金融緩和をおこなっていたために、仮想通貨市場全体が活況だった。
地合いの良さも相まってFILトークンは、2021年前半にさらに大きな値上がりを見せた。
ところがコロナの感染が終息し、アメリカなどで金融政策が緩和から引き締めへと切り替わると、景気悪化の懸念から一転して仮想通貨市場全体が低迷に陥ってしまう。
FILトークンもその流れに逆らうことはできず、2021年4月をピークに、長期的な下落基調へと移り変わっていった。
またひとしきり価格を下げたあとは、チャートを見てわかるとおり、値動きそのものが乏しい状態が続いている。
このようにFILトークンは、いわゆる「コロナバブル」の崩壊以降、長期にわたって冴えない状況にある。
だが現状をポジティブに捉えると、今のFILトークンは割安な価格で買える状態にあるとも言える。
今後の復調に期待する方は、GMOコインを使い、長期目線で今の内からFILトークンへ投資してみてはいかがだろうか。
FILトークン/ファイルコインの将来性に関わるポイント
続いては以下の3つの要素から、ファイルコインおよびFILトークンの将来性を考察してみよう。
今後に関わる注目要素
- クラウドストレージの市場が拡大している
- 先行者利益を有している
- FVMは2023年3月にローンチされたばかり
クラウドストレージの市場が拡大している
本記事の読者の皆さんも、GoogleDriveやDropboxなど、何らかのクラウドストレージサービスを日常的に使用しているのではないだろうか。
私達の生活に欠かせないものとなるほど、クラウドストレージサービスには高い需要があり、さらにその需要は年々拡大し続けている。
マーケット調査企業のFortune Business Insightsのレポートによると、世界のクラウドストレージサービスの市場規模は、2023年から2030年までの間に年平均+23.4%のペースで成長し続けると予想されている。
そうした市場全体の成長は、ファイルコインの需要も長期的に下支えしてくれるはずだ。
先行者利益を有している
分散型のストレージサービス(ブロックチェーン)は、ファイルコイン以外にもいくつもある。
また、数あるストレージネットワークのネイティブトークンは、「ストレージコイン」や「ストレージトークン」といった総称で呼ばれることもある。
2014年に始動したファイルコインは、数ある分散型ストレージサービスの中で先駆け的存在であり、先行者利益を獲得している。
また仮想通貨のデータアグリゲーター「CoinMarketCap」では、ストレージコインに絞って時価総額を比較できるのだが、先行者利益を持つファイルコインのネイティブトークンであるFILトークンは、数あるストレージコインの中で時価総額トップに立つ。
このように先行者利益を活かしつつ築かれた地位は、今後もそう簡単には損なわれないだろう。
FVMは2023年3月にローンチされたばかり
先ほどFVM(ファイルコイン仮想マシン)について解説したが、FVMは2023年3月にローンチされたばかりだ。
そのため、これから続々とファイルコインベースのDAppsが登場することになるだろう。
また、前述のとおりFVMにはEVM互換性があり、イーサリアムチェーンやPolygonチェーンのような主要チェーンとの接続も可能だ。
ストレージを活かしつつ利便性の高いDAppsがつくられれば、自ずとFILトークンの需要も増していくはずだ。
FILトークンの価格予想
仮想通貨のデータアグリゲーターの中には、さまざまな銘柄の価格予想を発信しているところもある。
今回はその中から、「PricePrediction」と「DigitalCoinPrice」という2つのプラットフォームをピックアップし、FILトークンの価格予想を紹介する。
まず、PricePredictionにおけるFILトークンの今後10年の価格予想は以下のとおり。
年 | 予想最低価格 | 予想平均価格 | 予想最高価格 |
---|---|---|---|
2024 | $10.32 | $10.62 | $12.27 |
2025 | $14.71 | $15.14 | $17.97 |
2026 | $21.89 | $22.64 | $25.84 |
2027 | $32.00 | $32.90 | $37.12 |
2028 | $47.90 | $49.22 | $55.51 |
2029 | $68.85 | $70.82 | $81.53 |
2030 | $98.36 | $101.90 | $117.82 |
2031 | $145.86 | $150.96 | $173.44 |
2032 | $209.67 | $217.22 | $249.31 |
2033 | $297.86 | $306.55 | $372.18 |
またDigitalCoinPriceでは、次のような価格予想がなされている。
年 | 予想最低価格 | 予想平均価格 | 予想最高価格 |
---|---|---|---|
2024 | $7.27 | $17.57 | $18.00 |
2025 | $17.55 | $19.98 | $21.15 |
2026 | $24.13 | $28.54 | $29.59 |
2027 | $31.49 | $36.15 | $37.20 |
2028 | $31.49 | $36.15 | $37.20 |
2029 | $38.89 | $42.87 | $44.98 |
2030 | $55.28 | $59.74 | $61.26 |
2031 | $79.76 | $85.11 | $85.82 |
2032 | $112.62 | $116.40 | $117.90 |
2033 | $153.56 | $156.66 | $159.16 |
参考としてFILトークンの本記事執筆時点での価格と、史上最高値も示しておこう。
- 本記事執筆時点での価格:8.19ドル(2024年3月1日)
- 史上最高値:237.24ドル(2021年4月1日)
PricePredictionとDigitalCoinPriceはどちらも、今後10年でFILトークンが堅調に値上がりしていくと予想している。
かなりポジティブな予想だと感じるかもしれないが、FILトークンは過去に200ドル/FILを超えたことがあり、市場の地合い次第では将来的に高値更新を試す展開になることもあるはずだ。
こうした予想や現状の値動き、将来性などを総合的に勘案し、FILがリターンを見込める投資対象だと感じる方は、GMOコインなどをとおしてFILトークンへの投資にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
FILトークンを買える仮想通貨取引所
冒頭に述べたとおりFILトークンを扱う国内取引所は今のところ、GMOコインとOKJの2社のみだ。
ここではその2社の基本情報と特徴を紹介していく。
GMOコイン
取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) レバレッジ取引(販売所・取引所) |
取扱銘柄数* | 27種類 |
取引コスト (BTC/JPYの場合) | 現物取引(販売所) ⇒ 無料、スプレッドあり 現物取引(取引所) ⇒ Maker-0.01%、Taker0.05% レバレッジ取引(販売所) ⇒ 無料、スプレッドあり レバレッジ取引(取引所) ⇒ 無料 |
仮想通貨の入出金手数料 | 入金:無料、ガス代は自己負担 出金:無料 |
その他のサービス | 貸暗号資産ベーシック 貸暗号資産プレミアム つみたて暗号資産(自動積立) ステーキング IEO 外国為替FX |
GMOコインの特長
- オリコン顧客満足度調査で満足度日本一*1
- 取扱銘柄数が国内最多クラス
- 低コストで仮想通貨を取引できる*2
- 仮想通貨の出金手数料が無料
- ステーキングやレンディングで投資技術がなくても稼げる
*1:2023年 オリコン顧客満足度®調査 現物取引部門・証拠金取引部門
*2:取引形式で「取引所」を選択した場合
GMOコインは、国内で最初にFILトークンの取り扱いを開始した仮想通貨取引所だ。
本記事執筆時点では、FILトークンを含めて26種類*の仮想通貨を取り揃えている。*2024年3月時点
またGMOコインは、そのサービスの充実度によって、多くの投資家からの支持を集めている。
まず取引については、現物取引とレバレッジ取引を利用することができ、どちらも取引の形式を「取引所」と「販売所」から選べる。
裁量取引以外では、自動積立やレンディング、ステーキングといった、仮想通貨投資におけるポピュラーなサービスがひととおりラインナップされている。
そのためGMOコインを利用すれば、自分の思い描くとおりの運用をおこなうことができるだろう。
OKJ
取引の種類 | 現物取引(販売所) 現物取引(取引所) |
取扱銘柄* | BTC、ETH、ADA、APE、APT、ARB、ASTR、AVAX、BAT、BCH、DAI、DEP、DOGE、DOT、EFI、ENJ、ETC、FIL、FNCT、IOST、IOTX、KYAY、LSK、LTC、MASK、MATIC、MKR、OAS、OKB、PLT、QTUM、SAND、SHIB、SOL、SUI、TRX、XLM、XRP、XTZ、ZIL、OP、NEO、TON 【全43種類】 |
取引コスト (BTC/JPYの場合) | 現物取引(販売所) ⇒ 無料、スプレッドあり 現物取引(取引所) ⇒ Maker ~0.07%、Taker ~0.14% |
仮想通貨の入金手数料 | 無料、ガス代は自己負担 |
仮想通貨の出金手数料 | 銘柄ごとで異なる |
その他のサービス | ステーキング Flash Deals 積立 API |
OKJの特長
- 取扱銘柄数が国内でトップクラス
- マーケットの流動性が高く、安定した取引が可能
- 積立やステーキングなど、サービスが充実している
OKJは、世界各国で仮想通貨取引のサービスを提供しているOKグループ傘下の仮想通貨取引所だ。
37種類*もの仮想通貨を取り扱っており、グローバル水準の取引環境の中で、安定した取引をおこなうことができる。*2024年3月時点
またOKJの取引手数料は、直近30日間の取引量に応じて段階的に割引されていく「ボリュームディスカウント方式」が採用されている。
そのため日々の取引量が多い方に、OKJは適しているだろう。
仮想通貨FIL/ファイルコインに関するよくある質問
最後に、ファイルコインおよびFILトークンに関してよくある質問を3つ、紹介する。
よくある質問
- ファイルコインのような分散型ストレージサービスの利点を教えてください。
- ファイルコインの開発者はだれですか?
- FILトークンの総発行枚数は決まっていますか?
ファイルコインのような分散型ストレージサービスの利点を教えてください。
中央集権的なストレージサービスと比較して、ファイルコインのような分散型のストレージサービスは以下のような利点を有している。
分散型ストレージサービスの利点
- 暗号学的にデータが保護されるため、改ざんや漏洩のリスクが低い
- 既存のストレージを有効活用しているため、エコロジカル
- ネイティブトークンが市場メカニズムに従っているため、適正な価格でサービスを利用できる
ファイルコインの開発者はだれですか?
ファイルコインは、Juan Benet氏が2014年に設立したオープンソースの研究・開発をおこなう組織「Protocol Labs」によって開発された。
FILトークンの総発行枚数は決まっていますか?
FILトークンの総発行枚数は、あらかじめ20億枚と決められている。
またCoinMarketCapによると、2024年3月時点では約5億2,000万枚が市場で流通している。
FILトークン/ファイルコインとは?まとめ
今回は分散型ストレージネットワークのファイルコインと、そのユーティリティトークンであるFILトークンについて、主な特徴やこれまでの値動き、将来性などを解説した。
この記事のまとめ
- ファイルコインは、ユーザー同士でストレージの貸し借りができる分散型ストレージネットワーク
- FILトークンは、利用料の支払い手段やインセンティブなどに用いられている
- FILトークンはICOにおいて、歴代2位の資金調達額を達成した
- 2023年3月のFVMの実装で、DAppsの開発が可能になった
ファイルコインは、分散型ストレージサービスの中で古参に分類され、先行者利益を有している。
また、2023年3月にEVM互換性を持つFVM(ファイルコイン仮想マシン)が実装されたことで、ストレージを活用したDAppsの開発が可能になり、今後の動向にも期待が寄せられている。
将来性を見込めると感じた方は、ぜひGMOコインを使い、FILトークンへの投資にトライしてみてはいかがだろうか。